2008/05/12

『人間万事塞翁が丙午』を読んでみた。

会社の本棚に、青島幸男著、『人間万事塞翁が丙午』があったので、読んでみた。
前から興味があったのと、私に’人間万事塞翁が馬’という中国のことわざを知るきっかけを与えてくれたタイトルで、(笑・普通逆なんですけど。)、なるほど、世間とか、人生とかっていうのは何が災いして何が福となるか分からないものだなと、そのときは最悪なことだと思っても、後になってみたらかえってそのことがあってよかったなんてこと、あるもんです。

で、この『人間万事塞翁が丙午』、著者である青島幸男氏の自叙伝的な小説で、本人が最初から予告ホームランならぬ、予告芥川賞を宣言していた通り、1985年に第85回芥川賞をとった作品。

私の読んだところ、テーマは’戦争と普通の人の生活’で、それが軽快な口調で書かれていて、なんだか落語でも読んでいるよう、大笑いする場面なんかもあり、すらすらと読めました。落語調といえば夏目漱石の小説もそんな感じがするけれど、私としては好きな文体であり、非常に楽しめました。

青島幸男といえば、私達世代には意地悪ばあさんとかその後都知事になった彼の姿のほうが印象的ですが、父たちの世代では’放送作家’、’シャボン玉ホリデー’、それから、’スーダラ節’や♪サラリーマンはぁ、気楽なぁ稼業とぉきた~もんだ’と歌うどんと節なんかを作詞した人。

テレビ草創期の申し子みたいな人で、なるほど、その土壌はこんな風に育った、少年時代にあったのかと、小説を読んで思いました。

戦争の中で、普通の人たちの暮らしがどんな風に変わって行ったか、実体験のある人たちがどんどん少なくなっていっている今日この頃。
戦争の前と後で、どんなことを感じたのか、今度うちのおばあちゃんにちゃんと聞いてみようと思う。

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